第9章 アカデミーの日常
「昔々、あるところに、神樹がありました。
神樹には、千年に一度、特別な果実がなりました。
しかし、その果実には手をつけてはいけないとされていました。が……」
「が?」
「説明が遅れましたが、神隠れの始祖たる神は、異世界から漂流して来たそうで……」
「えぇええー!説明遅れすぎー!」
「すみません……まあとにかく、漂流して来た神は、そのことを知らずに……」
「まさか……」
「そう、食べてしまったんですよ。」
「ええええぇえぇぇーー!」
(私の原作知識では、そんなことしたら大変なことになるはずだが………
いやそれよりも、なんで神樹が二本あるの?)
ルナは李蘭の言葉に仰天して、大袈裟に叫んだ。
「ねえ、それって何年前?」
「神の話だと、三千年ほど前かと。」
「ふーん……」
(ああ、そういうことか、それならカグヤが果実を食べた時期とは重ならない。
……でも、もう一つ、問題がある。)
ルナは自分の知識と李蘭の答えを繋ぎ合わせて、さらなる疑問を見つけた。
「……それで、神はどうなったの?」
「なんと神と神樹は、同化してしまったそうです。そしてこの時、神は神通眼を開眼したようです。」
「神樹が無くなって、世界はどうなったの?」
「平気でしたよ。もう一回、植えましたから。」
「はあぁあー?」
ルナは思わず、素っ頓狂な声を出してしまった。