第47章 二度目の里抜け
「うっ…………あ……⁈」
君麻呂は何をされたのかわからず、低く呻いて身体に漲るエネルギーを受け止めた。
(大丈夫……いける。)
ルナはごく落ち着いて、君麻呂の身体にチャクラを流し続けた。
なぜなら、ルナの神通眼には、君麻呂の身体を巣食っていた病巣が、急激に縮小していくのが見えていたからだ。
ルナの流した命遁チャクラが、君麻呂の生命力を極限まで高め、病変部分の生命力を急速に奪う。
一つの身体の中で、放出系統と吸収系統を同時に使用するのは結構難しいことで、ルナもこの技術の習得に割と苦心していた。
習得後、ルナはこの技術を術として定式化し、『命遁・万病完治』という、微妙な名前をつけていた。
「…………はい、おしまいです。気分はどうですか、君麻呂さん?」
病巣が完全になくなった後、ルナは君麻呂の胸から手を離し、にっこりと笑った。
「どうと言われても……いや…………」
身体が軽くなり、痛みが消えているのを感じて、君麻呂は自分の掌を見つめた。
「あれあれ?大丈夫ですか?病変部分は全部消したはずなんですが…………」
ルナが君麻呂の顔を覗き込み、オロオロした顔をする。
「……いや……しかし……そんなわけ…………」
君麻呂は、自分は不治の病にかかっていて、もう助からないと思っていたため、まだ現実を受け入れられないようだった。
しかし、先ほどまで感じていた苦痛が完全に無くなったことも事実であり、君麻呂はゆっくりとそれを受け止めた。
「……どうやら、僕の病は治ってしまったようだね。とても良い気分だよ。」
君麻呂はあまり変わらない表情のまま、ルナにそう言った。
それを聞いてルナの顔は喜色に染まり、四人衆の顔は驚きに染まる。
「やったー!良かった、元気になってくださって!」
喜びのあまり、ルナはなんと、君麻呂の手を取ってぴょんぴょん跳ねた。
「……レイ様……マジでナニモンなんだ……」
状況変化について行けず、誰かが呟いた。