第47章 二度目の里抜け
「さあ、お喋りはこれくらいにして、シカマル、三十分以内に、お前が優秀だと思う下忍を集めるだけ集めて里を出ろ!
……サクラも一緒にな。」
綱手の言葉に、サクラが大きく頷く。
「……私も行くわ。だってレイ君は……私の大事な仲間だもの!」
サクラは原作と違い、まだ諦めていなかった。
ルナの里抜けがあまりに唐突だったことも、拒絶されたことを受け入れられていなかったこともあるだろう。
だが、それだけではない。サクラは、わかっていたのだ。
ルナが決して、好きで木ノ葉を抜けたのではないことを。
「……だ、そうだ。さあ、こうしている時間も惜しい。すぐに行け、シカマル。
……そうだ、私の方から、推薦したい奴が……」
「……サスケ君とナルトも、行った方がいいと思います!」
綱手の言葉が終わる前に、サクラが叫ぶように言った。
その緑の両目からは、いつの間にか涙が溢れていた。
「サスケ君もナルトも……レイ君をすごく大切に思っているから……!
……だから、一緒に行かせて下さいっ……!」
「……わかってるよ。サスケとナルトを連れてけって言おうとしたんだ。わかったか、シカマル?」
綱手がシカマルの方を向いて確認する。
「七面倒くさいですけど……まあ、アイツのことですし……なるようになるっスよ。」
(まさかレイが、ねぇ……力を欲しがってるようにも見えなかったが……)
シカマルの脳裏に、かつて見た、『皇レイ』の笑顔が浮かんだ。
慈愛に満ちたその表情は、見ている方が幸せになるほど……温かく、優しかった。
(レイ……お前の目標ってなんなんだ?どうして里抜けまでしなきゃなんないんだ……?)
それを思い出して、シカマルの中にも、ルナに対する個人的な感情が湧いてきた。
(たとえその目標とやらのためだとしても……お前を大蛇丸のところへなんて、やるかよ。)
シカマルは腹を括った。
「……それじゃ、行くぞ。
……サクラ、ナルトとサスケを呼んできてくれ。門の前に集合だ。」
シカマルがサクラに言い放った。
「っ……わかったっ!」
サクラは涙を拭って目を擦ると、火影室からバタバタと駆け出していった。
その後シカマルも火影室を後にし、小隊のメンバーを集めるために早朝の里を走った。