第47章 二度目の里抜け
「ううっ……あああああぁあぁっ!」
背中が焼けるように熱を持つのを感じて、ルナが膝をついて身体を折り曲げ、涙を流しながら呻く。
突然、バリバリバリバリ、という音がして、ルナの服の背中が裂ける。
そこから飛び出して来たのは……漆黒の翼だった。
卵から孵ったばかりの雛のように湿った羽毛が生えたそれは、ゆっくりと広がり、
やがて乾いて、ルナの身長くらいの長さがある、黒光りする美しい翼になった。
その一連の変化に、音の四人衆は度肝を抜かれ、息を飲むばかりだった。
しばらく経って、少し痛みに慣れてきたルナは、ゆらり、と立ち上がった。
「……あー、痛かった。って、なにこの翼!ジャマくさっ!」
ルナは自分の背中から見慣れないものが生えているのを見て、そうボヤいた。
「……ルナ様、アンタ…………なんて奴だ……」
ピンクの長髪を垂らした多由也が、呆然と呟く。
「まさか、こんなに早く状態2に慣れちまうなんて……」
次郎坊も酷く驚いたように言った。
「いえ、そんな……えーと……多由也さんでしたっけ?今はまだ、レイと呼んで下さい。色々事情があるんで。
じゃあほら、行きましょうよ。ゆっくりめに、ね。」
(全然慣れてないわ!今も全身が超痛いよ!でも、我慢!)
ルナはそう言って、四人衆にウインクした。
「………あ、ああ……はい。」
予想外の事態に最も衝撃を受けていたのは、四人衆のリーダー的存在の、左近だった。
邪魔臭いと言っていた黒い翼を優雅にはためかせ、状態2のまま無邪気に笑うルナを見て、音の四人衆は思った。
流石、大蛇丸様のメガネにかなった奴だ、と。