第47章 二度目の里抜け
「っ……」
醒心丸がルナの喉を滑り落ちてすぐに、ルナは強い目眩を感じて地面に片膝をついた。
「おい、チンタラしてっと、レイ様にコロッと……」
「だ、い、じょう、ぶ…………必要、ない。」
鬼童丸の言葉を、ルナが遮った。
驚いた四人衆が声のしたほうを見ると、皇レイの姿のままのルナが、頼りなくフラフラしながらも、自分の足で立っていた。
「俺はぁっ……大丈夫。このまま行きましょう。心持ち、ゆっくりめに、ですけど……」
そう言っている間にも、首の呪印から不気味な三つ巴が広がり、ルナの白い肌を黒く染めていく。
遂にルナの全身は呪印で覆われ、別人のように真っ黒けになってしまった。
「……いっ…………うああああああああああっーーーーー!」
遅れてやって来た身体が焦げるような凄まじい痛みに、ルナが絶叫する。
この痩せ我慢は、ただ強がっている訳ではない。
四人衆と君麻呂がわりと嫌いではなかったルナは、四人衆と君麻呂、全員を連れて大蛇丸のところに行くつもりだった。
勿論、木ノ葉の同期から怪我人を出したくなかったというのもある。
それを叶えるためには、今ここで、倒れる訳にはいかない。
今ルナを支えているのは、普段は紙耐久の精神力と、神隠れの末裔としての驚異的な治癒力だけだった。
しかし、いかに治癒力が高くても、呪印による痛みは相当なものだ。
これに耐えているルナの精神は、なかなか大したものである。