第47章 二度目の里抜け
「わかってると思うけど、止めても無駄だよ?じゃあね、サクラ。この一年、本当に楽しかったよ。
昼間も言ったけど、サスケをよろしく。んじゃ!」
ルナはヒラヒラと手を振って、スタスタと歩きだした。
「……待ってレイ君!行かないで!どうしても行くっていうなら、私大声出してでも……」
「……ダーメ。」
サクラの言葉が終わらないうちに、ルナは瞬身でサクラの後ろに回った。
「…………サクラ。サクラにはやるべきことがある。俺にもやるべきことがある。ただそれだけだよ。
だから……悲しむ必要はないよ。サクラは、サスケを支えてあげて?」
ルナはそう囁くと、サクラの後頭部に手刀を入れた。
(レイ、君……やめて、行かないで!レイ君だって……私の大切な仲間なの…………!)
声なき叫びがルナに届くことはなく、サクラは気絶した。
ルナはそんなサクラをそばにあったベンチに寝かせ、荷物の中から毛布を一枚取り出して、掛けた。
「……サクラ、ごめんね。イタチ兄さんとシスイさんとサスケと、あと世界平和のためなんだ。
まあ、まだできるかわかんないけど。」
ルナはそう呟くと、木ノ葉の門をくぐって、外に出た。
闇の帳が、門のすぐ外で音の四人衆を待っているルナを包み込んでいた。
ルナがしばらく待っていると、音の四人衆……正確には五人だが……が姿を現した。
「これはこれは、ルナ様。もうお越しになっていましたか。」
四人衆の一人……左近が言う。
「ええ、まあ。ところで、この姿のときは、『レイ』って呼んでもらえませんか?色々事情があって……」
「はい……仰せのままに。里を抜けたときをもって、あなたは私どもの頭になることが決まっておりました。」
「そうですか。じゃあ、行きましょうか。」
ルナの言葉を合図に、音の四人衆は、漆黒の森にルナを招き入れた。
(さようなら……サスケ、ナルト、サクラ、それにカカシ先生。お世話になりました。ほかのみなさんも、お元気で。)
ルナは木ノ葉の門をチラリと見ると、四人衆について行った。