第46章 暇乞い
サスケとナルトは玄関先で靴を脱ぎ、真っ暗なルナの部屋の中に踏み入った。
「レイ……いるのか⁈いるなら返事しろってばよ!」
ナルトが焦ったように叫ぶ。
「……ナルト。靴がある。レイはこの部屋のどこかにいる。まず電気をつけろ!」
サスケは玄関にルナのいつもの真っ黒い靴があるのを見つけてそう言った。
「わかったってばよ!」
サスケの言葉にナルトは頷き、壁伝いに慎重に進み、電気のスイッチをオンにした。
パチ、と音がして、部屋が明るくなる。
「……レイ!どうした⁉︎」
サスケが手洗いから上半身を出して、倒れているルナを発見し、駆け寄った。
そのルナはサスケの呼びかけにも反応を示さず、目は半開きで、唇の端からは胃液とも唾液ともつかないものを零していた。
「レイっ!どうしたんだってばよ!……って、サスケ、これ!」
ナルトは便器の中にある吐瀉物を指差して叫んだ。
「……ああ。レイが吐いたんだろう。流しておけ。俺はレイをベッドに運ぶ。」
サスケはそう言うと、ルナを身体の前に抱えた。所謂お姫様抱っこというやつだ。
「わかったってばよ!……でも、どうしようサスケ、もし、レイがこのまま……」
「……とにかく、少し様子を見よう。病院に運ぶかどうかは、その後だ。」
不安を口にするナルトに、サスケはそう言ってルナをベッドに寝かせると、ルナの唇の端の液体を、ティッシュで拭った。
「……レイ……レイ……起きてくれよ……なあ……」
意識を失ったままのルナの横で、ナルトが眉をハの字にして呟いていた。
サスケはというと、あまりにも多いルナの不調の原因を考えて、黙りこんでいた。
(…………最近、レイは船酔いしたり突如ぶっ倒れたり、そういうのが多すぎる。
戦闘中じゃないから良かったようなものの…………一体何故、こうも多い?)
サスケは少し考えて、皇レイという少年と知り合ってからの今までを思い出そうとした。