第46章 暇乞い
「じゃ、いただきます。」
ルナはそう言うと、イタチの顔を思い浮かべながら、三色団子を口にした。
「いただきまーす……んー、おいっしー!」
サクラはややオーバーリアクション気味に感想を言った。
「ね?ここ、和菓子が美味しいんだ。だから俺も、たまに団子食べに来るんだよ。」
(正確には、シンコさんに会うためと、イタチ兄さんを思い出すためだけど。まあ、私も三色団子結構好きだし。)
ルナはあんみつにがっついているサクラに、ふふっと笑いかけた。
「へー、そうだったの。甘いものが好きなんて、なんかレイ君らしいわね〜」
何も知らないサクラは、能天気にあははと笑った。
「……うん。好きなんだ、甘いもの……」
(イタチ、兄さん……もう一度だけ、一緒にお団子食べに行きたかったよ…………)
ルナはジワリと浮かんだ涙を乾かすために目を開きっぱなしにしつつ、三色団子の真ん中の白を、半分噛みちぎった。
(お茶屋作戦は地雷だったな……ヤバイ、悲しい……でも、今は我慢!
泣くのは、サクラと別れた後にしなくちゃ。今は、今夜のことなんか忘れて楽しもう。)
「……うん、美味しい。」
ルナは、団子と一緒に自分の感情を咀嚼し、それを酸の海に沈めた。
それが再び蘇ることをわかっていながら。
「……ところで、さ。サクラはどうして、サスケが好きなんだ?」
今の気持ちを誤魔化したくて、ルナはなんの脈絡もなく、そんなことを訊いていた。
「ぶっ!……ゴホッゴホッ、いきなりね……」
(ぶーっ!レイ君、一体どうしたのかしら⁈)
サクラはあまりの唐突さに噴き出し、咳き込んだ。
「あはは、ごめん。ちょっと気になってさ。で、なんで?」
ルナはサクラの気も知らず、無邪気に問うた。