第46章 暇乞い
「……はぁ。」
ヒルゼンから逃げてきたルナは、道端で立ち止まって、溜息を吐いた。
(あー……なんかこの作業、結構つらいな。もうやめようかな…………)
そんなことを思いながらブラブラしていると、近くに紅班の三人と一匹のチャクラの気配を感じた。
(おおっ?これはヒナタとシノとキバと赤丸?
ちょーどいいや、この機会逃したらもう絶対会えないだろうし、声かけてみようっと。)
ルナは沈んでいた気持ちをサッと切り替えると、三人と一匹の気配に近づいていった。
「……あの……」
ルナはこの三人にはあまり慣れていないため、少し控えめに、背後から呼びかけた。
「……ん?って、お前はっ!」
「あ……レイ君……」
「レイか……」
咄嗟に身構えたキバと違い、ヒナタとシノは、そこまで警戒してはいないようだった。
「どうも、皇レイです。シノさん、その節はどうも。みなさんお揃いでどちらへ?」
「これから任務だけど……お前ら、なんでそんないつもどーりなんだよ!」
ルナの質問に答えつつも、キバがキャンキャンと喚く。
「え、だって……」
「…………レイは敵でもなんでもないぞ?なぜなら、レイは正式に木ノ葉の中忍として認められている。」
やたら身構えているキバを落ち着かせるように、ヒナタとシノが口々に言う。
「まあまあ、そういうことなら、俺、もう行きますから。会えてよかったです。さよなら!」
空気を読んだルナはキバをなだめると、ニコリと笑ってその場を走り去った。
「…………かわいい。」
「…………可愛いね。」
「…………可愛いな。」
初めて見たルナの笑顔にキュンとしたキバ、ヒナタ、シノの三人は、頰をポッと赤らめて、少し驚いたように呟いた。
三人の頭の中はルナの笑顔が予想外に可愛かったことでいっぱいで、ルナがなんのために三人に話しかけたのかとか、
話しかけられる直前まで気配がなかったのは何故かとか、そういう疑問が浮かぶことはなかった。
「クゥーン……」
ルナの本当の強さを見抜いていた赤丸は、キバの腕の中でブルブルと震えていた。