第46章 暇乞い
カカシと別れたルナは、まずヒルゼンに会いに行くことにした。
感知能力を研ぎ澄まし、ヒルゼンのチャクラに近づいて行くと、そこには一件の、割と大きな家があった。
(……あ、そうだ。三代目引退したんだった。てことは、木の葉丸君と一緒に住んでるとか……?)
そう思いながらも玄関の戸を叩く。
そして、扉の奥から現れたのは、浅葱色のマフラーを巻き、ゴーグルをつけた木の葉丸その人だった。
「こんな朝っぱらから、誰なんだコレ…………んん?兄ちゃん、誰だ?」
「あー……俺の名前は皇レイ。三代目火影様に用があって来たんだ。今、ご在宅かい?」
ルナは少しかがんで木の葉丸に目線を合わせ、ゆっくりとそう訊いた。
「スメラギ、レイ……?あー!兄ちゃん、あの、中忍試験のときの、スゴイ兄ちゃんじゃんか、コレ!」
「いや、そんな……それで三代目様は?」
「ん?じいちゃんならいるぞ……呼んできて欲しいのか?」
「うん、お願い。」
「わかったんだコレ〜!」
木の葉丸はそう言うと、ドアの内側に引っ込んでいった。
「ああー……子供ってエネルギーが凄いな……」
たった数十秒の会話でドッと疲れたルナは小さく呟き、ヒルゼンが出てくるのを待った。
数分後、扉を開いて出てきたのは、白髪を短く刈り上げ、地味な色の着物を着たヒルゼンだった。
「……レイ。いよいよなのか。」
「……はい。」
何か感じるものがあるのか、ルナが何かを言う前から真剣な顔をしているヒルゼンに、ルナは静かにそう言った。
「……どうしても行かねばならないのか…………?」
「……はい。」
悲痛そうに問いかけるヒルゼンに、ルナはたった一言、そう答えた。
「……三代目様。これは仕方のないことなのです。どうかご理解を。
それと…………俺に考えがあります。だから…………綱手様には、ひとまず俺のことは黙っていていただけないでしょうか?」
「……わかった。」
ルナの頼みを無下にできる訳もなく、ヒルゼンは小さく頷いた。