第46章 暇乞い
「でも……」
明るかったルナの表情が、急に辛そうなものになる。
「……どうした?」
カカシはあくまで落ち着いて、ルナに問いかけた。
「……いえ……なんでもありません。そろそろ行きましょうか。」
「……そうだな。」
カカシはルナが話したがらないのを見て潔く引き下がり、ルナと一緒に席を立った。
自分で払うと言いかけたルナを遮って、会計を済ませたカカシは、茶屋から出てルナと喋っていた。
「すみません、カカシ先生……奢ってもらってしまって……」
カカシの好意を無下にはできなかったルナが、申し訳なさそうにカカシを見上げる。
「いーのいーの。レイには色々世話になっちゃってるし。」
「いえ、そんな……」
「いやいや、ホント、助かってんだよ?たまにどっちが担当上忍かわかんなくなるけど。」
カカシがおちゃらけたように言う。
「いえ、俺なんて……まだまだ未熟ですから。精神とか精神とか精神とか。
人の言うこと聞きませんし。」
「ん〜……まあ、確かにそういうトコあるかもしんないけど……レイの場合は、それで上手くいっちゃうからなぁ…………」
「……いえ……上手くいこうがいくまいが、俺は結局、自分のしたいようにしかできないんです。
いくら気をつけていても……気がついたら暴走していた、なんてよくあることで…………
カカシ先生にも、それで何度か見苦しいところを見せてしまいましたね……」
ルナが目を伏せて呟く。
こんなしおらしいこと言っているのだから、反省しているのかといえば、実はそうでもないのがルナである。
なんせ今このときでさえも、思いっきり暴走してる際中なのだから。