第46章 暇乞い
そのまま無言で朝食を完食し、出されたお茶を啜っていたとき、不意にルナが口を開いた。
「そういえばカカシ先生は、昨日はどのようにお過ごしで?」
「ん?ああ……普通に起きて修業して、本読んで寝て……それだけだが……」
「そうですか……」
そこから話を広げる方法がわからず、ルナは小さく呟いた。
「……レイの故郷ってさ。風の国だよな?火の国との国境付近なのか?」
「……何故そんなことを?」
カカシの質問に、ルナが僅かに身構える。
「いや……さっきのお前、今さっき帰って来たみたいに見えたから……木ノ葉から近いのかなー、と。」
「……ええ。そこそこ近いですよ。カカシ先生のトップスピードなら、すぐに着きますよ。今度、行ってみます?」
ルナはどうせ約二十四時間後には木ノ葉を抜けているのだから、と割り切って、心にもないことを言った。
「え……あー……そのうち、な。」
(今度来るか、だって⁈まさかレイの方から誘ってくるなんて…………)
カカシはルナの返答が全く予想外だったため、少しぎこちない様子でそう言った。
「ふふっ……いいところですよぉ。緑でいっぱいで空気が綺麗で、大きな湖があって……
魚がいっぱい住んでいて、ずっと見ているとたまに鱗が光ってるのが見えるんです。
いろんな植物が生えていて、時期によっていろんな花が咲き乱れたり、美味しい果実がなったり……
……俺にとっては、まさに地上の楽園です。おっと、少し喋り過ぎました。」
「……そう。」
(レイがこんな幸せそうな顔をするなんて……きっと、環境だけじゃなくて、その友人のことも、大好きなんだろうな……)
うっとりした顔で呟くルナに、カカシは若干驚きつつも、少し温かい気持ちになっていた。
(……レイにもまだ、大切な人が残ってるってことだ……よかった。)
カカシはニコニコと笑っているルナを見て、目を弓形にした。