第46章 暇乞い
「……すみません。カカシ先生は、どちらへ行かれるご予定で?」
ルナは少し態度を固くし過ぎてしまったことを自覚し、間を埋めるかのようにそう質問した。
「……え?いや、俺もただの散歩だが……」
「じゃあ、ご一緒しませんか?」
「えっ?」
カカシは拒絶されたり誘われたりと忙しくて、少し混乱しているようだった。
「……ダメですか?」
ルナがカカシに潤んだ赤い瞳を向けて呟く。
身長差のせいで上目遣いになっていることもあって、その可愛らしさたるや、どんな頼みでもはいと即答したくなるほどだった。
「いや、いいけど……」
(なぁっ……レイのあの眼……ズルい。)
カカシはルナの視線に瞬殺されて、そう言った。
「ふふっ……では、行きましょうか。」
(よく考えたら、大蛇丸のところへ行くと、カカシ先生達にも当分会えないんだよね〜……まあ、奪還任務のときに若干会うかもだけど。
でも、みんなと仲良くできるのは今日で最後だし。よし、今日は七班のみんなと三代目に会いに行く日にしよう。)
ルナはさっきと同じ笑顔でもう一度微笑むと、カカシと共に歩き出した。
そして、ルナとカカシは無言で早朝の里を歩き回り、店が開き始めると、適当な茶屋に入った。
「はぁ〜……朝の散歩はいいですねぇ。」
「……そうだな。ところでレイ、昨日はどこへ行ってた?」
「へっ?」
カカシの突然の質問に、ルナはキョトンとした。
「いや、昨日の夜、お前を訪ねたんだが……留守だったみたいだったからさ……で、どこに行っていた?」
「えーと……」
(ううむ、どう躱すべきか……)
ルナはなんと答えるのがベストか、少しばかり考えた。
「……昨日の夜は……前にお話した、友人のところに会いに行ってました。」
「……そう。」
ルナのあっさりした答えに、カカシはそれだけ返した。
そのとき、丁度注文した定食がやって来て会話は中断され、ルナはホッと胸を撫で下ろした。
なんとなく話しづらいのか、ルナとカカシは押し黙ったまま、朝食に手をつけた。