第46章 暇乞い
「ルナっ……どうして……」
その答えは一つ。
(ルナは……サスケ君の代わりに、大蛇丸のところに行ったんだ……)
目の前が霞むほどの無力感に苛まれながら、ルナからの手紙を開く。
そこには、概ね綺麗な、でもたまに形の崩れたもののある、よく知った字が並んでいた。
『シスイさんへ
申し訳ありませんが、当分神隠れには来られそうにありません。どうかご心配なさらず。
これは私の意思です。別に誰かに強制されている訳ではありません。だから、私を探さないで下さい。
次、会うのはいつになるか、見当もつきませんが、どうかお元気で。
最後に。
シスイさんと過ごした時間は、私にとって最高の宝物です。
この十数年、本当にお世話になりました。
またいつか、お会いしましょう。
神皇ルナより』
そこにしたためられていたのは……驚くほどあっさりした、別れの言葉だった。
でも、さっきのルナの言葉と、手紙の初めに書かれているどこか切実さを感じさせる数行が、
これがそんな軽いものではないことを語っていた。
「……ルナ…………」
シスイの目から涙が溢れ、手紙の字を滲ませる。
もうシスイの頭は、悲しみや無力感やらで占拠されていて、何故ルナは大蛇丸を倒すのではなく、
大蛇丸のところに行ったのか、そんな当たり前の疑問を考える余裕すらなかった。
「……とにかく、李蘭達に知らせないと…………」
シスイは寝間着を着替えると、ルナの手紙を胸に抱いて、家を後にした。