第46章 暇乞い
「……じゃあ、そろそろ行きましょうか、シスイさん。」
「……ああ、そうだな。じゃ、みんな、おやすみ。」
ルナとシスイはそう言って席を立ち、食堂を後にした。
「…………みなさん、今日のルナ様、少しおかしくはありませんか?」
二人の背中が見えなくなった後、李蘭がひそひそと喋り出した。
「うーん…………俺は別に。いつも通りだと思うけどなぁ。再不斬はどう思う?」
那由他は自分には観察力があまりないことがわかっていたので、あまり自分の見解を主張することはせず、再不斬に意見を求めた。
「……確かに少し違和感を覚えた。でも、あのルナはどうやら本当に本体みたいだし、気にし過ぎじゃねえのか?」
再不斬はそう言うと、白の方をちらりと見て、発言を促した。
「僕は……今日のルナちゃんは少し変だと思います。
でも……僕達がルナちゃんに隠し事をしているから、そう言う風に感じているだけかもしれません。」
白はそう言って、今更ながら、この方針で良かったのだろうかと疑問に思った。
「……そう……ですか…………まあ、どちらにせよ、今はまだ、様子見ですね。
焦って問い詰めれば、ルナ様は口を噤んでしまわれるだけでしょうから。」
李蘭は他の三人のいまいちはっきりしない意見を聞いて、小さく溜息を吐き、そう呟いた。
(ルナ様……あなたは私に、何を隠していらっしゃるのですか……?
それとも、そんな気がするのは私の中にやましさがあるせいですか?そうだったらいいのですが…………)
李蘭は自分で引いた境界線を踏み越えかねて、ぐるぐると悩んでいた。
悩んでいるうちに、手遅れになっていることも知らず。