第46章 暇乞い
楽しい夕食会が終わって、いつも通り、ルナは今日どこに泊まるの問題が勃発した。
「……ところで、ルナ様、今日はどちらへお泊まりに…………」
李蘭が指をもぞもぞと動かして、少し恥ずかしそうにルナに切り出した。
しかし、それに対するルナの答えは、残酷なものだった。
「……ん?ああ、今日もいつも通り、シスイさんのところに…………」
「……え。」
ルナの何気ない言葉に、李蘭が凍結する。
しかし、今回に限っては、ルナは自分の希望を通さねばならなかった。
なぜなら、李蘭は何気に観察眼が鋭いので、一緒にいると計画に気がつかれる恐れがあるからだ。
それに気がつかれた場合、李蘭を振り切って大蛇丸のところに行ける自信もなかった。
ただでさえ、大蛇丸のところに行きたくなくて仕方がないのだ。
そこで李蘭に止められてしまえば、流されてしまいそうで……決意が揺らいでしまいそうだった。
だから……ルナは、ひどく残念そうな李蘭を見て申し訳なく思っても……意思を変えることは無かった。
「……そうですか。いえ、また今度、ですね。」
「…………うん。次来たときは、必ず李蘭のところに行くから……だから、今日はシスイさんのところに行かせて?
……シスイさんもいい?」
ルナは李蘭に吹けば飛びそうなほど薄い笑みを向けて、普段絶対に使わない、"必ず"という言葉を使った。
「ああ。俺は全然構わないよ。」
シスイはそう言いながらも、ルナの態度にどこか引っかかりを覚えていた。
それは李蘭も同じだったようで、残念がるのはやめて、少し怪訝そうな顔でルナを見ていた。