第46章 暇乞い
「ほう……雪の国ですか…………懐かしいですね、あの地方には、大昔に一度行きましたよね、那由他?」
李蘭が遠い目をして、那由他に話を振った。
「ん?あーあ、そうだな、そんなこともあったか…………昔過ぎて今の今まで忘れてたぜ。寒かったなー、あの国。」
那由他は大昔に体験した寒さを思い出したのか、ブルルッと震えた。
「そうそう、なんでも雪の国の先代が、雪の国を温暖化するために、巨大発熱器作ったとか。でもまだ不完全みたいで。
護衛した女優さん……小雪さんておっしゃるんですけど、雪の国を春の国に変えるんだー、って意気込んでました。
小雪さん、元気かなぁ……」
ポツリと呟くルナに、李蘭が疑問を投げかける。
「……小雪さん、ですか……うーん、そういう名前の女優さんは聞いたことがありませんね……代表作はなんでしょうか?」
「ん?ああ、小雪は本名で、女優としての名は、富士風雪絵っていうの。代表作は、風雲姫シリーズだよ。」
李蘭の疑問に、ルナが明快に答える。
「……ああ!風雲姫雪絵さん!その人なら聞いたことがあります。たまに街に買い物に出ると、宣伝の看板があったりしますし。
雪の国の姫君だったとは、初耳ですが。」
「そうそう!で、今回の任務の後、雪の国の主君になったんだ……小雪さんを襲撃して来た……なんだっけ?
あそうだ、ドトウとかいう、小雪さんのお父さんを殺して雪の国を乗っ取った奴を倒したんでね。
内政干渉なんて私のガラじゃないけど、まあでも、任務遂行にはやむを得なかったんだ。」
(とか言って、ドトウ倒すのめっちゃ楽しんじゃったけどね!)
ルナは雪の国でやらかした色々を思い出してニヤニヤしそうになるのを堪え、自分の頭を軽く叩いた。