第46章 暇乞い
「はい、元気ですよー。みなさん、ただいま戻りました。これから夕食ですか?」
ルナはごくいつも通りにそう言い、わかりきっていることをシスイに訊いた。
「はい!今日は私が当番ですよ。さあ、ルナ様も席におつき下さい。」
シスイより早く李蘭がそれに答え、シスイと李蘭の間の席の椅子を引っ張って、座るよう促した。
「……うん。ありがとう、李蘭。」
軽く礼を言って、ルナはその席に腰を下ろした。
それから李蘭が料理を運んで来て、賑やかな夕食会が始まった。
「……うーん、美味しい。流石李蘭。お店出したら、超人気店になるよー、絶対。」
ルナが李蘭が焼いたというアツアツのピッツァをもぐもぐと咀嚼して飲み込み、小さく呟いた。
「ふふふ。それは良かったです。今日はピッツァを中心に献立を考えてみたのですが、好評でなによりです。」
李蘭はニコニコと笑って、主人のいい食べっぷりを見ていた。
「ところでルナ、今回は随分長かったな。長期任務にでも行ってたのか?」
シスイがさりげなく訊いた。
「ああ、はい。ちょっと、雪の国まで。いやー、楽しかったですよ。
女優さんの護衛だったんですけど、唯の女優さんじゃなくて、雪の国のお姫様だったんですよ。
色々ありましたけど、なんとかうまい方向にまとめられました。」
ルナは自分がやらかした後ろ暗いことには一切触れず、シスイに朗らかに笑いかけた。
「……そうか。良かったな、ルナ。」
(やっぱり、話してはくれないか……でもまあ、ルナが無事なら、それでいいか。)
シスイはルナを追及したい気持ちを抑えて、優しく笑い返した。