第45章 宴の後
「そうか…………なら、よかった。」
(兄に一族を殺されたサスケと、自分のせいで一族の最後の仲間………
………両親を死なせたと思ってるレイ………………どっちが辛いんだろうな……………)
カカシはそう思ったとき、ルナの頭に手を乗せ、わしゃわしゃと撫でていた。
「あっ………カカシ先生、髪がボサボサになっちゃいますよ〜」
「い〜の!これはお返し!作戦を教えてくれなかったレイへの、ね。」
(憎める相手すらいない分、レイの方が辛いのかもしれないな…………)
カカシはルナに同情している心とは裏腹に、ワザと意地の悪い表情を作った。
「それは確かに悪かったと思いますけど…………ちょっ、やめて下さいよ〜!」
「ダ〜メ、まだ許さない。」
「そんなぁ……………」
困り果てたルナが、潤んだ目でカカシを見上げる。
「っ!………レイ…………」
(な、泣きそうになってる⁈…………少しいじめすぎたか…………)
カカシは少し反省して、ルナの頭から手を離し、ぽりぽりと頰を掻いた。
「あー…………レイ、ごめん。俺がやりすぎたわ……………」
「ふふっ、別にいいですよ。それでカカシ先生の気が済むなら。」
(カカシ先生ってば、優しいなぁ〜………)
ルナは悲しげな表情を崩し、朗らかに笑った。
それを見てカカシは言いたいことを一つ思いつき、ルナのプニプニした唇に軽く指を当て、スッとなぞった。
「そう?じゃあもう一つだけ………………レイ、お前は自分を雑に扱い過ぎてる。
ドトウに口を開かせるために、何も自分の唇を使うことはないだろう?
拷問なんかのために、ファーストキスを………」
「あ、ファーストキスじゃありませんよ。」
「えっ⁈」
(ファッ、ファーストキスじゃない⁈)
ルナがさらっと言ったことに、カカシは呆気に取られた。