第45章 宴の後
「でもレイ、もしナダレの説明が嘘で、その術で倒せなかったときは、どうするつもりだったんだ?」
ルナの説明の穴に、カカシが突っ込む。
「あはは、そのときはそのときですよ。
実は、俺は影分身に、もし作戦が上手くいかなかったら、取り敢えずドトウの飛行船を墜落させて報告に来るように命令してました。
ドトウに捕まるほど、俺は弱くありませんから。報告が無かったから、予定通りに進んでいると判断したまでです。」
ルナはカカシに軽く笑いかけ、サクッと大嘘を吐いた。
「そうか………まあ確かに、レイ、お前なら、それで良いんだろうな………
でもな…………それじゃ、班で任務に来ている意味が無い。お前ならわかってるだろ?」
カカシがルナを、鋭い目で睨む。
「ええ、勿論、わかってましたよ。
でも俺、虹の氷壁を、ドトウの血で汚したくなくて………だから、飛行船の中で始末しようと………
あそこは、小雪さんの…………雪の国の、大切な場所だから。」
ルナが海に浮かぶ雪の国を見つめ、優しい表情を浮かべて呟く。
「そうか………そうだな。」
(レイは小雪さんの気持ちを尊重して、あんな作戦に出たのか…………)
カカシはルナが、小雪を思うが故に、あのような作戦に出たことを理解した。
このときカカシは、何故ルナが虹の氷壁を知っていたのか、という点には引っかからなかった。
「それに、ドトウ退治に人を回し過ぎて、肝心の小雪さんの護衛が手薄になるのは、避けたかったんです。
万が一があると、嫌ですから。だから、俺も小雪さんの側から離れずに、影分身にドトウ退治を任せたんです。」
ルナは嘘の説明を補足すると、カカシに向き直って、カカシを見つめた。
「…………これで、俺の説明は以上です。納得していただけましたか?」
(カカシ先生、これ以上掘り返さないで〜!)
ルナは不安を抱えながらも、自信満々に見えるように、精一杯虚勢を張った。
「…………ああ、レイ。わかったよ。」
(流石レイ………そんなところまで考えていたのか………)
カカシはルナがちゃんと考えた末にあのような作戦に出たことを理解し、頷いた。