第44章 絆の春
「そういえば、小雪さ………小雪は、これから女優業のほうはどうするんですか?
やっぱり、やめちゃうんですか?」
ルナはおもむろに、答えがわかりきっている問いをぶつけた。
「え?いいえ、やめないわよ。女優と雪の国の主君、両立させてみせるわ。
だって、ここで諦めちゃうなんて、バカみたいじゃない。
ほら、ここに次の作品の台本も持ってるわよ!」
小雪はそう言って、『イチャイチャパラダイス』と書いてある本をルナに見せた。
「え……………小雪、それ、出演するんですか?」
(イチャパラに小雪さんが⁉︎…………ああ、あれってそういう意味だったんだ…………)
「そうよ!公開されたら観てよね、レイ!」
「は、はい………………」
(それってR18じゃなかったけ…………)
ルナは曖昧に頷いた。
「お〜い、風雲姫のねーちゃんとレイ、いつまでイチャイチャしてんだってばよ…………」
いつまでも離れないルナと小雪を見かねて、ナルトが声をかけて来た。
「あら、あなたは…………えーと、うずまきナルトさんだったかしら?」
「そうだってばよ!おぼえてくれてたのか〜!」
「ええ。と〜っても、騒がしかったからね!」
「なんだとぅ!」
「まあまあ、ナルト、そんなに怒んなよ………」
後からやって来たカカシが、ナルトをなだめる。
それに続いて、サスケとサクラもやって来た。
「そうそう、あの装置は、結局未完成だったの。
でも、あの装置をもとに開発を進めれば、雪の国はきっと、春の国と呼ばれるようになるわ。
だから…………レイ、またいつか、この国に遊びに来てね?」
「はい、小雪さ………小雪。」
(そのとき私が生きていれば、私も小雪さんに会いに行きたいな………)
ルナは少し儚げに笑って、頷いた。
「ふふっ、楽しみにしてるわ。そのときはきっと、レイももっと男前になってるんでしょうね!」
「あはは、そうですね!」
(すみません、小雪さん。皇レイは、本当はうちはルナなんです………とは言えないな〜…………
…………新しい変化パターン作ろうかな〜)
ルナと小雪は、他の四人をほったらかして、仲睦まじく笑い合った。