第44章 絆の春
小雪がルナを抱きしめ、ルナが呆然としていると、そこにインスタントカメラを持った三太夫が現れた。
「小雪様、レイ殿、お写真を…………小雪様、何をなさっているのですか⁈」
三太夫はルナを抱きしめたままニコニコしている小雪を見て、目が飛び出しそうなほど驚いていた。
「あら、三太夫。ちょうど良いわ。一枚撮ってちょうだい。」
小雪は三太夫の様子を気にする素振りはなく、ルナをホールドしたまま、ピースサインを作った。
「はあ……………わかりました。では、はい、チー…………」
三太夫は小雪に突っ込むのを諦め、カメラを構えた。
「あ、ちょっ、待っ……………」
「………ズ!」
カシャッ
ルナが小雪から離れようとしたとき、シャッターを切る音がした。
そのまま、カメラの下から、写真が出て来る。
その写真には、小雪から離れようともがいている可憐な少年のあどけない表情と、雪の国の美しき主君が写っていた。
小雪は三太夫からそれを受け取ると、サラサラと、
『皇レイさんへ
ずっとずっと大好きよ!
富士風雪絵より』
と書いて、持っていた封筒に入れ、ルナに差し出した。
「はい、どうぞ!私が書いた初めてのサイン…………受け取ってくれる?」
(大好きなんて書いちゃったけど………嫌がられちゃうかしら…………?)
そう言う小雪は、何故か少し照れているようだった。
「…………はい!勿論です!」
(わ〜い、サインまでもらっちゃった〜!)
ルナは満面の笑みで、それを受け取った。
「ふふっ、喜んでもらえたみたいで、よかった。
あ〜もう、レイってば、本当に可愛いんだから〜!」
小雪はそう言って、もう一度ルナを腕の中に捕まえた。
「あっ、小雪さ………みんな見てますよ!熱愛報道されちゃいますよ!」
「え〜、別にいいじゃない。私は構わないわよ?」
「えぇ………」
……………そんな感じで、小雪とルナはしばらくイチャイチャしたのだった………
「……おーい、レイ、なにいちゃついてんだってばよ…………」
「ああ……」
「そうね……」
「まあ、仕方ないか……」
……………それを七班のメンバーが遠い目で見ていたのは、言うまでもない。