第44章 絆の春
それから数日後。
小雪は雪の国の新たな主君となり、即位式が行われていた。
国民は初めての春の到来に湧いて、国全体がお祝いムードだった。
七班の五人は、小雪の恩人として、式と宴に出席させてもらっていた。
(この宴が終わったら………小雪さんとお別れか…………寂しいな………
それに…………あと少しで、サスケ達ともお別れだし……………)
ルナは刻々と近づいて来る大好きな人達との別れに、胸が締めつけられるような気がしたが、
空気を壊してはいけないと思い、顔には出さなかった。
宴の途中、ぼうっと突っ立っていたルナに、小雪が近づいて、話しかけた。
「……………レイ、どうしたの?ぼうっとして。」
「小雪さん…………いや、小雪様、なんでもございません。御即位、おめでとうございます。」
ルナは小雪をさん付けで呼んではいけないと思い、カッチカチの敬語で話した。
「もう…………様、なんて付けなくて良いわよ。正直、さん付けだっていらないし。
ねえ、これからは、小雪、って呼んでよ。」
小雪はルナに壁を作って欲しくなかったのが半分、困っているルナが見たかったのが半分で、そう無茶振りをした。
「えっ?は、はい…………………こ、小雪……………」
(小雪さんを呼び捨てなんて…………恐れ多いな…………)
ルナは(見た目の)年齢が上の人に対しては、基本誰でもさん付けのため、少し緊張してしまい、上目遣いで小雪を見つめた。
「ふふっ、良くできました。」
(キャー!可愛いっ!……………ダメ、もう我慢できないっ!)
小雪はそう言って笑うと、ルナをギュッと抱きしめた。
「⁈」
(わわわっ⁈小雪さんってこんな積極的なキャラだったっけ?)
ルナは突然の抱擁に狼狽え、目を白黒させた。