第44章 絆の春
その会話を聞いていた小雪が、パタパタと駆けて来て、ルナに詰め寄って来た。
「レイ、なかなか良かったって、一体なんのこと?」
「え?」
ルナは小雪に訊かれて初めて、その意味を考えた。
(なかなか良かった……………?何が?………………あ、もしかして……………)
「………………キスしたこと?」
「え〝っ………………」
(レイとドトウがキスしたぁーーー⁈)
ルナが小さな声で呟いたことに、小雪は奇妙な声を漏らした。
「ああー、すみません、成り行きというか、なんというか………
…………あ、小雪さんに化けていたときではないので、そこのところはご安心を。」
「え〝っ………………」
(成り行き⁈しかも、ちゃんと男の格好してるときにーーーー⁈)
ルナが軽く笑って言った釈明に、小雪は更にドン引きした。
「ねえレイ、あなたってまさか……………その、ホモなの?」
小雪はそうでなければいいと言いたげな顔で、ルナにそう訊いた。
「え?俺ですか?違いますよ!あれはただの作戦っていうか………………ただの手段ですよ。」
(そう言えば、今、男の姿してるの忘れてた〜!まずい!ホモ認定は避けたい………………)
ルナは少し慌てて、小雪にそう返した。
「……………そう。」
(ああ良かった!レイは男が好きなのかと思っちゃったわ!でも……………)
小雪はホッとした後、ルナが言っていたことをよく考えた。
(でも…………それが作戦になるってことは……………ドトウってホモだったの⁈いいえ、それよりも………………
……………レイは作戦として、そういうことがさらっとできちゃう子なの⁈)