第44章 絆の春
「………いや、それは見ればわかる……俺が訊きたいのは、どうして………」
「…………どうして、そういう作戦だと言わなかったか、ですか?
それとも、どうして、影分身がドトウ達を倒せると確信できたか、ですか?」
ルナはカカシの言葉の先を聞くのが面倒になって、聞かれそうなことを、先回りして言った。
「………そうだ。その両方だ。
何故お前は、俺達に何も言わなかった?何故、影分身一体でドトウ達を倒せると確信できた?」
カカシはヘラヘラと笑っているルナに、厳しい顔をした。
「はははっ、そんなの、決まってます。一つは、必ず反対されるから。
もう一つは、俺はチャクラの鎧に対する有効打を持っていたからです。」
(あー、カカシ先生怒ってる〜!でもま、今回は仕方ないよね………よし、何言われてもシラを切ろう。)
ルナはカカシの方を向いて、さも当然であるかのように言った。
「………確かに、俺達は反対しただろうな。じゃあ、チャクラの鎧に対する有効打とはなんだ?
何故お前には、それが有効打であることがわかった?」
カカシはルナに鋭い視線を向け、質問を続けた。
「………………もう。カカシ先生、質問ばっかり。
今は、そんな質問するより、やるべきことがあるでしょう?」
ルナは溜息を吐くと、カカシを放って血の海を渡り、ドトウの後ろに回って、目隠しと猿轡を外した。
「………ドトウさん、小雪さんが来ましたよ〜!さ、頑張って下さいね!」
そして、ドトウの耳元でそう囁くと、ルナは小雪の横に戻った。
「さあ、小雪さん、こちらへ。」
「え、ええ…………」
小雪は戸惑いながらも、ルナが差し出した手を取り、ドトウに近づいていった。
カカシ達はそれを、止めることもできずに、ただ見ていた。