第44章 絆の春
「小雪さん。お待たせしました。
この不肖皇レイ、風花ドトウを打ち倒しました。」
ルナがそう言って、飛行船の搭乗口の中を指差す。
「え?ドトウを倒した、って…………」
小雪はルナの言葉に躊躇いつつも、飛行船の中に、足を踏み入れた。
そして、その中の異様な様子に、言葉を失った。
そこには、気を失っている雪忍三人組、倒れている乗組員、そして…………
……………目隠しと猿轡をされ、青白い顔をして床に転がっているドトウがいたからだ。
その周りには既に固まっている血痕が大量にあり、その側には、皮を剥がれた腕らしき肉の塊が落ちていた。
それだけで、ここで何があったのか、小雪は悟ってしまった。
「レイ、あなた…………」
「なんでしょう、小雪さん。」
震える声でルナに呼びかける小雪に、ルナは曇りのない笑顔を返す。
その清らかな笑顔を見て、小雪は気がついてしまった。
この少年には………………………救いようのないほど、深い深い闇があることに。
「おいレイ、そろそろ話してもらうぞ!作戦って一体なんなんだ⁉︎って…………」
小雪に続いて飛行船内を覗き込んだカカシも、驚いて押し黙った。
「レイ、いい加減ちゃんと話せよ!……っ!これは………」
それに続いたサスケと、ナルト、サクラの反応も同じだった。
「…………レイ、これはどういうことだ?」
我に返ったカカシは、ルナに詰め寄った。
「え?見たままですよ。俺の影分身は、ドトウと、雪忍全員を倒しました。
報告は以上です。」
(あーあー、やっぱりこの作戦、ちょっと無理あり過ぎだったかな?カカシ先生に、めっちゃ怪しまれてるよ…………)
ルナはそう思いながらも、わざとあっけらかんとして、軽くカカシに笑いかけた。