第44章 絆の春
ブロロロロロロロロォ………………
ルナが小雪達を待っている頃、小雪達は、三太夫の運転する車で、虹の氷壁に向かって移動中だった。
「みなさん、あと数分で虹の氷壁に到着します!」
三太夫が運転席から言った。
その声で、ウトウトしていたナルトが目覚めた。
「うーん…………まだついてねえのかよ…………」
「ああ。あと数分だそうだ。」
隣に座っていたルナの影分身がナルトに教える。
それを見て、カカシは口を開いた。
「………いやに静かだな………この数十分、敵らしい敵は全く出てこない………レイ、本当にこれが作戦なのか?」
「ええ、カカシ先生。全く問題ありません。ご心配なく。」
ルナの影分身は、カカシにそう言い切り、にこやかな笑顔を向けた。
「……………」
何も語る気が無さそうなルナの影分身に、サスケ達は沈黙を守った。
そして、数分が経ち、三太夫は虹の氷壁にほど近いところに、車を停めた。
「みなさん、虹の氷壁に到着しました。」
「そのようですね。みなさん、降りて外を見てみて下さい。」
ルナの影分身は、他の六人に指示を出し、まず自分が車を降りた。
「本体さん、お疲れ!」
「そっちこそ、お疲れ!」
そして、迷彩隠れで姿を隠していた本体のルナとこそこそと笑い合い、音を立てずに消えた。
「!あれは…………ドトウの飛行船‼︎」
車から降りたカカシ達は、車の数十m横にあるものを見て、目を見開いた。
「はい、そうですよ〜。さあ、行きましょう、小雪さん。」
「え、ええ…………」
ルナは車を降りた小雪に手を差し伸べてエスコートし、飛行船に向かって歩く。
「おいレイ、待てってばよ!」
わけがわかっていないナルトが、ルナの背中に向かって叫ぶ。
「まあ、とにかく来てみなって〜。さあ、カカシ先生と三太夫さん達も。」
ルナはナルトを振り返ってヘラっと笑うと、また前を向いてしまった。
(……なんだか、さっきと様子が違うような気もするけれど………レイが言うなら、大丈夫よね…………)
小雪はルナの様子に若干の不安を覚えつつも、ルナを信じて、ついていくことにした。