第43章 救済は新たな暴虐へ
「さあ!できましたよ!
普通前菜っていうのは、もっと軽い料理を出すものなんですが……………
………まあ、別に良いですよね!はい、あーん♪」
(ほら食え!小雪さんの何倍も、絶望を思い知れー!)
ルナはこんがり焼けたドトウの肉片をつまんで、ドトウの口元に近づけた。
その唇は緩く弧を描き、ドトウがそれを食べるのを、今か今かと待っているようだった。
「っ…………」
ドトウはそれを食べるまいと、唇をぴっちり閉じた。
「ドトウさ〜ん、どうしたんですか?食べられないんですか?ほら、ほら〜!」
(もー、あまり時間がないんだから、早くしてよ〜!)
ルナがドトウの唇に肉片を押し付け、無理矢理食べさせようとする。
「むぐぅっ…………」
ドトウは唇を閉じて歯をくいしばり、必死に抵抗を試みる。
その小豆のように小さな目には、なみなみと涙が溜まっていた。
「仕方ないですねぇ、ドトウさんてば…………それなら…………」
(ちょっと気持ち悪いけど…………まあ、初めてじゃないし、いっか。)
ルナはそう言ってあでやかに笑うと…………ドトウを壁に沿ってゆっくり押し倒し、床に座らせ、
ドトウのタラコ唇に、自分の赤く染まった唇を押し付けた。
そして、舌先でドトウの上唇と下唇の間を、チロチロと舐める。
「んんっ⁉︎」
ドトウは突然キスされたことに驚き、目を見開いた。
固く結んでいた唇が思わず綻び、ドトウの口の中に、ルナの舌がスルリと侵入した。
(うわあああああ、気持ち悪い…………でも、これならいけるかも?)
ルナはドトウにキスしていることに気持ち悪さを感じつつ、ドトウの歯茎を舌でしつこくなぞった。