第43章 救済は新たな暴虐へ
「ふっ………………あははははははははははははははははははは!」
エクスタシーが一定のレベルを超えたのか、ルナはケタケタと笑い出した。
中忍試験のときのように身体を突き動かさんとする破壊衝動を制約つきとはいえ解放しているのだ、気持ちがよくない訳がない。
快感に悶え、身体を震わせるルナを見るドトウの顔は憔悴しきって、目は虚ろだった。
「あははははははははははははははっ………………ねえ、ドトウさん、今どんな気分ですか?」
ルナは精一杯背伸びして、ドトウに顔を近づけて訊いた。
ドトウの顔にルナの甘く熱い息がかかる。
その瞳は狂気と喜色に赤く輝き、唇はドトウの血で紅に彩られ、頰は紅潮していて、ドトウにはそれが、恐ろしいほど美しく見えた。
「……………起きたまま悪夢を見ているようだ…………だが、美しい……………」
ドトウが掠れた声で呟く。
ルナはそれを聞いて、また大笑いした。
「あははははははははははっ………………美しいだなんて、ご冗談を!機嫌取ろうったって無駄ですよ。
まあ良いや、失血死されたら嫌だから、そろそろ治してあげますね。」
ルナはそう言うと、ドトウに医療忍術を施し、腕を切り落とした傷口を完全に塞いだ。
「どう…………して………」
「え?言ったでしょう、俺は小雪さんの命令無しには、あなたを殺さないって。
ま、折角だし、あなたにも風花の秘宝を拝ませてあげますよ。でも、その前に…………」
(その前に………ふふふっ…………)
ルナは疑問を呟くドトウに答えると、ドトウの肉片を並べてあるテーブルの前に行った。
「さあて、ドトウさん!お楽しみはこれからですよ!
さっき言いましたよね?懺悔のフルコース、前菜の始まりですって。ま、美味しさは保証しませんけど。
火遁・豪火球の術!」
ルナは弱めに豪火球を使い、ドトウの肉片を、ミディアムくらいまで焼いた。
ドトウはルナの楽しそうな横顔を、げっそりとやつれた顔で見ていた。