第43章 救済は新たな暴虐へ
「ドトウさん、俺いいこと思いつきました!
ドトウさんの最終的な処遇は、小雪さんに決めてもらおうと思うんです!」
ルナは突然の思いつきに目をキラキラと輝かせ、ドトウにそう宣言した。
「っ……………それは………」
ドトウの額に、大粒の冷や汗が滲む。
続くルナの言葉は、ドトウを震撼させるものだった。
「でも〜…………さっきドトウさん、俺に散々暴力振るったじゃないですか。
だから…………その仕返しくらいは、しても良いですよね?」
(頰に十発、腹に二発、あと、手を目一杯踏まれたからな………………
私だったからどこも怪我してない……………っていうか治ったから良いけど、小雪さんだったらこれ、大怪我だよ?
そんな奴を、五体満足のまま、小雪さんの側に近づけて良い訳ないよね?)
ルナはそう言うと、ドトウに一歩近づき、ポケットから砥ぎ澄まされたナイフを一本取り出し、
その鋭い刃の背を、ピンク色の舌の先でつうっと舐めた。
「さあ………………懺悔のフルコース、前菜の始まりです!
…………じゃあ取り敢えず…………ドトウさん…………………痩せましょうか?」
ルナはそう言って、天使のように清らかに優しく笑うと、ドトウのマントを外してソファに放り、
ドトウの服の右袖を破り捨て、小手を破壊し、その右腕にナイフを突き立てた。
傷口から、ドトウの赤黒い血が迸る。
ルナがやめたのは『小雪の命令なくドトウを殺すこと。』であって、ドトウを嬲ることをやめる気は、さらさら無かったのだ。