第43章 救済は新たな暴虐へ
「どうもー、皇レイです。小雪さんのために、ドトウさん、あなたを倒しに来ました。」
ルナはいつも通りの可愛らしい顔で、にこりと笑った。
「フン、お前なんぞに、この儂が倒されるものか!おい、こいつを捕まえろ!」
その全く覇気が感じられない顔を見て、ドトウは馬鹿にしたような顔をし、乗組員に指示を出した。
「っ……………………」
そのドトウの横では、氷山でルナに一杯食わされた三人組が、焦ったような顔をしていた。
ルナは飛行船の乗組員が放って来た拘束用の糸をサッと躱すと、印を結ばず、久しぶりに命遁を使った。
(命遁・死神之舞!)
すると、ルナの身体から、チャクラでできた黒く輝く巨大な鎌が発生し、
ドトウと三人組には触れず、飛行船を横向きに斬るように、一瞬のうちにシュッと一回転した。
その一瞬で、ルナのチャクラでできた鎌は、乗組員達のチャクラを、死ぬギリギリまで吸い取った。
そして、飛行船内で立っているのは、ルナ、ドトウ、雪忍三人組だけになっていた。
「なっ…………これは……………」
ドトウは周りに転がっている、立ち上がることもできないほどに弱り切った部下達を見て狼狽えた。
「っ……………………」
三人組は震え上がり、既に戦意を喪失しかけているようだった。