第43章 救済は新たな暴虐へ
その音を不審に思ったのか、ナダレ、フブキ、ミゾレの三人組が、何事かと思って、この部屋に入って来た。
「ドトウ様、何事ですか?」
「お前達か…………いや、大したことでは無い。ちょっと小雪と話していたところだ。」
そう言ってニヤニヤと笑うドトウの足元には、小雪に変化して、ぐったり(あくまで演技だが)しているルナがいた。
「……………………」
三人組にも僅かに情けが残っているのか、武装もしていない一般人……………
しかも女(まあ本当は変化したルナだが)を痛めつけて喜んでいる主人を見て、少し微妙な顔をした。
(…………うーん、どうしようかな………ドトウ以外は、殺さなくてもいい気もして来たな……………
別天神で、小雪さんに危害を加えようとしたときには自殺しろ、って命令を書き込めばいいか…………)
ルナはそれを見て、ドトウの部下達に対しての処遇を、変えてあげようかと思い始めた。
ルナが考え込んでいると、ドトウがもう一発、ルナに蹴りを入れようとして来た。
そのとき、操縦室の扉が開いて、パイロットが顔を出した。
「ドトウ様!後十分ほどで、虹の氷壁に到着します。」
「………………そうか、ご苦労。
折角だ。小雪、殺す前に、お前にも風花の秘宝を見せてやろう。」
ドトウがルナに向かって、卑賤な笑顔を向ける。
「………………そう。でも、残念でしたね。
ドトウさん…………あなたは、それを見ることはできませんよ!」
ルナはそう言うと、立ち上がり、皇レイの姿に変化した。
身長が少し縮み、髪は短く、瞳は紅く、服は黒装束になった。
「なっ……………お前は!」
ルナを見たドトウと三人組の目が見開かれる。