第43章 救済は新たな暴虐へ
小さく声を上げて、床に倒れこんだルナの手を、ドトウがグリグリと踏みつける。
「あああぁあっ…………………!」
ルナは手の骨が軋む痛みに、思わず声を上げた。
「ふっ…………いいザマだな、小雪。
儂に逆らおうなどとするから、こんな目に遭うのだ。
…………………どうする?さっきの言葉を撤回すると言うのなら、許してやらんでもないが?」
ドトウはルナの手から足を退けると、しゃがみこんで、卑しい笑いを見せた。
ルナは床に倒れこんだまま、目だけを動かして、ドトウを見た。
(この変態下衆野郎め……………今に見てろ。)
「………………いいえ。撤回はしないわ。」
ルナははっきりした声で言い放ち、ドトウを睨みつけた。
「………………そうか。」
ドトウはそれを聞いてフッと笑うと、立ち上がった。
「……………ならば、死ね!」
そして、床に倒れているルナを、思い切り蹴飛ばした。
「かはっ………うっ…………」
ルナは吹っ飛び、飛行船内の壁に激突した。
その激しさは、ルナがぶつかったところの壁が凹むほどだった。