第43章 救済は新たな暴虐へ
ドトウの飛行船に乗ったルナは、中にあったソファに座らされていた。
小雪の仕草を意識して、気だるそうに足を組んで外を見ていたルナに、巨大不男・ドトウが近づいてきた。
「………全く、さっきの威勢はどこへ行ったのか。借りてきた猫のようだな、小雪。
六角水晶は、ちゃんと持っているのか?」
「ええ。」
(さて、どうやって始末しようかな…………まあ、この際だから、ドトウ以外には、命遁使っちゃお。
ドトウは、まずチャクラの鎧を壊して、金縛りで縛って…………それからっ…………ふふっ………)
ドトウ軍団全滅計画を立てつつ、ドトウにまっすぐ目を合わせて、ルナは答えた。
「結構。あれこそが風花家を結ぶ、唯一の絆だからな。そして、秘宝を開ける鍵でもある。」
「秘宝の………鍵?」
ルナは知っていることを知らないフリをするのには、もう慣れているためか、ごく自然にそう言った。
「そうだ。儂がお前の父からこの国を譲り受けたとき、風花家にはなんの資産も残っていなかった。
早雪はどこかに、財産を隠したに違いない。儂は探した。そして、遂に見つけた。それは虹の氷壁に隠されている。
その六角水晶に合う、鍵穴を見つけた。
風花の秘宝さえ手に入れば、我が国は忍五大国にも勝る、軍事力を持つことができるのだ!」
ドトウは理想の未来を思い描き、尊大に語った。
「…………そう。」
(金縛りで縛って…………嬲り殺してあげよう。
小雪さんが味わった絶望を……………ドトウ、お前にも味わわせてやる。)
ルナは会話の内容とは全く関係ないことを考えつつ、つまらなさそうに、気のない返事をドトウに返した。