第43章 救済は新たな暴虐へ
飛行船が見えなくなった後、隠れていた小雪と三太夫は物陰から出て来て、ルナの影分身とカカシ達の話し合いに加わった。
「…………………で、レイ、考えってなんだ?」
カカシはルナの影分身に訊いた。
「はい。アバウトに言うと、小雪さんと三太夫さんと一緒に、虹の氷壁に向かえばいいんです。
それで全てが解決します。」
(本体がちゃんと仕事してくれれば、だけど。
でもまあ……………平気でしょ。ドトウに負けるほど、私は弱くないし。
虹の氷壁は、空から探せばすぐわかるだろうし。)
ルナの影分身は自信を持ってそう宣言した。
「え?でも、あそこは……………」
(て言うか、なんで知ってるの…………………)
小雪が戸惑ったように呟く。
「……………レイ、本当にそれだけで良いのか?」
カカシも怪訝そうに訊いた。
ルナの影分身はそれに、安心して任せろ、と言いたげな笑みを返した。
「はい、本当にそれだけで大丈夫です。
さ、案内して下さい、三太夫さん。」
「は、はい………ではみなさん、車にお乗り下さい。」
ルナの影分身に押し切られて、三太夫は虹の氷壁までのナビゲーションをすることを約束した。
カカシ達は、本当にルナの影分身に作戦があるのか怪しく思えて来たが、ドトウの居場所がわからない手前、
ルナの影分身の指示に逆らうこともできず、一行は車に乗って、虹の氷壁に向かった。
それにはもれなく、撮影関係者達が付いて来ていた。