第43章 救済は新たな暴虐へ
ルナが黙り込んでいると、さっきまで遠くにあったドドウのチャクラが、
急速に近づいて来ているのを感じて、ルナは焦った。
(まずい!ドトウが来る!このままじゃ小雪さんが………………)
「カカシ先生!もう時間がありません!
取り敢えず、小雪さんを安全なところへ!」
ルナはそう言うと、影分身を一体出して、小雪の姿に変化させた。
「ドドウには、影分身を拐わせて、時間を稼ぎます。
全員で奇襲をかけるんですよ!」
(なんてね!冗談だよ!ごめんねみんな!ドドウを倒すのに集中したいからさ!)
言葉とは裏腹に、ルナは影分身とうまくすり替わって、自分がドドウに連れ去られるつもりだった。
何故なら、ルナはここまでの道中で、晶遁で見た目は六角水晶にそっくり、
でも虹の氷壁で鍵として使うことはできない、六角水晶の(多分)精巧なレプリカを作っていたからだ。
つまり、鍵穴に嵌めるまで偽物かどうかの判別は(多分)つかないから、捕まったら虹の氷壁に連れて行かれることが目に見えている。
だから、ドドウを始末するなら、ドドウの飛行船の中で、本体の自分が直々にやろう、とルナは思っていた。
小雪と早雪の思い出の場所を、ドドウの穢らわしい血で汚さないように、というルナの配慮だった。
「そうか、それなら……………でもレイ、 奇襲をかけても、ドドウを倒せなきゃ、意味がないぞ。
なにか手があるのか?」
カカシが冷静に、ルナに訊いた。
「………………はい。あります。」
(私がドドウをぶっ殺しますから、ご安心を。)
ルナは込み上げる笑いを一生懸命堪え、カカシの目をジッと見て答えた。
「そうか……………なら、決まりだな。それについては、時間を稼いでいる間に、詳しく教えてくれ。
サスケ、サクラ、ナルト。取り敢えず小雪さんを隠せ!
三太夫さん達も、早く隠れて下さい!」
カカシはルナの答えを聞いて頷き、指示を出した。
サスケ達はそれに頷き、行動を開始した。