第43章 救済は新たな暴虐へ
「さて………俺ができるのは、止めることだけじゃないんですよ?」
ルナはそう言って磁場を操り、クナイを180°回転させた。
その顔はもうニコニコしていて、この状況を楽しんでいるのがバレバレだった。
「ふふっ………さあ、あなた達が、三太夫さん達にあげようとしたもの………受け取りなさい!」
ルナが紅い瞳を煌めかせ、手を前にフイッと振る動作に合わせて、何千ものクナイを、強力な斥力で一気に打ち出した。
それらは全てドトウの列車に命中し、ただのクナイとは思えないような破壊力を発揮した。
結果、三両目以降の列車は、装甲がボロボロになり、半壊していた。
それに慌てたのか、ドトウの列車は、ボォーっと音を立てて、急発進した。
しかし、サクラとサスケが手榴弾を投げて起こした雪崩に巻き込まれかけて、結局三両目以降を切り離した。
「あははははははははははははははははははははははははははっ!これで終わりだと思わないで下さいよ!」
ルナは去って行く列車に向かって、狂気に満ちた笑いを放った。
(今日のレイ、変だ…………またあのときみたいにならないように、俺がしっかりしなくては………)
その姿を見てカカシは、波の国で見せられたような惨劇の足音を聞いたような気がした。
(レイの奴……中忍試験のときと、同じ顔してる………)
ルナの暗殺者としての最盛期を知らないサスケは、ルナがニコニコしているのを見て、複雑な気持ちになった。
(レイ君……ちょっと、怖い………)
サクラは二度目とは言え、ルナの狂ったような笑いを聞いて、味方だとわかっていても、少し恐怖を抱いてしまった。
(レイのヤツ………どうして、あんなにゲラゲラ笑ってるんだ……?)
ナルトはルナが笑っている訳がわからず、もどかしい気持ちがした。