第43章 救済は新たな暴虐へ
「ストーップ、三太夫さんがた。
氷遁・氷壁!」
ルナが印を結んで術を発動させると、ドトウの方を向いているルナの背後に、巨大な氷の壁が広範囲に並んで立ち、
三太夫達の進路は塞がれた。
三太夫達が何か言っていたが、ルナはそれを無視した。
(………レイが…………氷遁を使った⁉︎一体どうやって…………)
カカシ達七班は、氷山でのルナの戦いをロクに見ていなかったため、ルナが平然と氷遁を使ったことに驚いていた。
(いや、それよりも………何考えてんだ、レイは⁉︎ドトウの前に出て行くなんて!)
しかし、すぐに驚きから覚め、現在の状況に慌てた。
「………さあて。次はこっち、ね。」
(磁遁・磁界操作!)
ルナは挑戦的に呟いて妖しく笑うと、術を使っていることががバレないように印無しで磁遁を使った。
チャクラを練って、強力な磁力を作り出し、引力と斥力を巧みに操って、前方10m付近でクナイが止まるよう調節した。
バババババババババババババッ!
そうしているうちに、ドトウの列車の装甲が開き、クナイが連続で発射される。
「レイーーーーっ!」
ルナに何千本ものクナイが容赦無く降り注ぐかに見えて、小雪は思わず叫んでいた。
しかし、射出された大量のクナイは、徐々に勢いを失い、ルナの10mほど手前で、完全に停止し、宙に浮いた。
その奇妙な光景に、皆が信じられないという顔をしていた。
(なっ………これはどういうことだ………)
予想外の事態に、ドトウは焦りを隠せない。
(クナイだけが浮いている……これは………磁力か?)
カカシは、どうしてルナが磁遁を使えるのかはさておき、冷静に状況を見ていた。
ナルト、サクラ、サスケ、小雪、三太夫は、訳もわからず固まっていたが、ルナが何かをしたということは理解していた。