第43章 救済は新たな暴虐へ
その少し前。
カカシ、ナルト、サクラ、サスケは、車に乗ってトンネルを抜けて、撮影の準備を見学していた。
その四人の耳に、ディレクターの情けない声が届いた。
「監督〜!雪絵がまた、逃げました〜!」
「なにぃっ!」
「あ〜あ、またか………」
監督は叫び、カカシは溜息を吐く。
「…………あれ?そう言えば、レイ君もしばらく見てないわね………」
サクラがふと思い出したように呟く。
「………確かに。ナルト、お前はどうだ?」
サスケが振り返って、ナルトに訊いた。
「いや、俺も見てねえってばよ…………」
ナルトがアホ面をして呟く。
「…………………」
ルナがいない、その意味を悟って、四人は黙り込んだ。
「…………レイ君がいない、ってことは………小雪さんを追って行った、ってことかしら?」
サクラが四人の頭の中を代表して呟いた。
「………その可能性は高いだろうが…………念のため、俺達の方でも、小雪さんとレイを捜そう。」
カカシがそう言って、ナルト、サクラ、サスケにトランシーバーを差し出す。
「小雪さんとレイ、どっちか見つかったら、これで連絡しろ。さあ、行けっ………って、あれ?」
カカシが三人に命令しようとしたとき、視界の片隅に、小雪を背負っているルナがトンネルから出て来たのが映って、
素っ頓狂な声を上げた。
「あ、レイ君に、小雪さんも!」
サクラがルナと小雪を指差して、少しホッとしたように言った。
「なーんだ!やっぱレイ、ねーちゃん追ってってたのか〜」
ナルトも安心したようで、腕を頭の後ろで組んだ。
「…………はぁ。」
(やれやれだ……………)
サスケはまだ脱走を諦めない小雪に少し呆れたように、小さく溜息を吐いた。