第43章 救済は新たな暴虐へ
「…………それで、小雪さん。
………………俺と一緒に、もう一度だけ、立ち上がってみませんか?」
ルナは、これが最後だと言うように、立ち上がって、座り込んでいる小雪に手を差し伸べた。
その姿は、とても頼もしくて、とても優美で、頑なにもつれていた心が解けていくのを、小雪は感じた。
そして、解かれた心の糸が、再び編み上がったとき、小雪の心は決まっていた。
「………………ええ。やるわ。
私ももう一度だけ…………希望を信じてみる!」
小雪はルナの手を取って立ち上がり、力強く頷いた。
「じゃあ、決まりですね。」
ルナは小雪の答えを聞いて、嬉しそうに笑った。
その輝くような笑顔を見て小雪の頭に、さっきと同じ問いが浮かんだ。
「さっきも言ったけれど…………皇レイ、あなた、どうしてそこまで、私に構うの?」
「え?」
ルナは予想していなかった問いに、一瞬ポカンとした。
「だってあなたは、雪の国に何か関わりがある訳じゃないし、あなたと私が初めて会ったのは、つい二日前なのに……
………どうしてなの?」
急に気になりだしたのか、小雪がルナに詰め寄る。
「うーん………………」
(気にする理由?特に思いつかないな……………死者を減らすためです、って言うのもどうかと思うし………………)
ルナは適切な答えが浮かばず、少し考え込んだ。