第42章 氷雪の地へ
出発して間も無く、船内では監督、ディレクター、七班のメンバーを集めて、なにか会議のようなものが行われていた。
カカシが、小雪が雪の国の姫であったことをカミングアウトすると、ナルトは素直に驚いていた。
三太夫が、雪の国が十年前に風花ドトウに乗っ取られたこと、雪の国の民は小雪が国王として君臨することを望んでいること、
小雪が生きていてくれて嬉しかったことなどを、涙ながらに語った。
「…………………あのとき死んでれば良かったのよ。」
突然聞こえた声に、皆がその方向を向くと、そこにはさっきまで気絶していた小雪が、だるそうに戸口に立っていた。
その胸には、首から垂れ下がった六角水晶が、夕陽を浴びて光っている。
ルナは密かにそれに注目し、形を覚えておく努力をした。
その小雪に土下座して、雪の国に君臨して下さい、命に代えてもお守りしますと言う三太夫を、
下らない、バッカみたいと愚弄する小雪に、ナルトが怒った。
「………あきらめろなんて、気安く言ってんじゃねえよ!
このおっちゃんは、自分の命をかけて、夢を叶えようとしてんだぞ!
バカ呼ばわりする奴は、俺がぜったい許さねえ!」
ナルトが机をバシンと叩いて立ち上がった。
感情的に叫ぶナルトをあまり刺激したくなかったが、その言い草が気に入らなかったルナは、つい口を出してしまった。
「………………ナルト。その意見には俺、賛成しかねるかな。」
「えっ⁈なんでだってばよ、レイ⁈」
ナルトはルナが自分の意見に賛成してくれるものだと思っていたのか、怒っていると言うよりも、
びっくりして狼狽えたような顔をしていた。
「だってさ、三太夫さんの夢を叶えるには、小雪さんがリスクを負わなきゃいけないんだぜ?
それを強要するってさ………………………かなり勝手なことだと、俺は思うけどなぁ。」
(て言うか、私だったらブチ切れてるレベルだよ……………)
ルナはナルトが意外と冷静に話を聞いてくれそうだったため、本音を言った。