第42章 氷雪の地へ
それについてはカカシも同感だったようで、不調を笑って誤魔化しているルナに、敢えて少し厳しい顔をした。
「…………ふぅん?でもレイ、顔色すっごく悪いけどなぁ。
…………調子が悪いときは、無理せず休め。ほら、部屋で寝てろ。」
(船酔いしてるのに、なんで無理して笑うんだ、レイ………?
…………………多分レイは、無理をするのが普通になっちゃてるんだろうな………
…………ここは俺が、ガツンと言ってやらないと………)
「…………はい。すみません、そうします。」
(げ…………カカシ先生、なんか怒ってる?)
ルナはカカシが真面目に言っているのに気がついたのか、ビクッと震えた。
カカシはルナが自分の剣幕で萎縮したことに気がつき、慌てておちゃらけたようなポーズを取った。
「えーっと、レイ、俺は別に、怒ってるわけじゃないんだ。
ただ……………無理すんなってことだ。」
(ああ、俺はこんなんだから、レイに避けられるんだな……………気をつけよ。)
カカシの気持ちが通じたのか、ルナは申し訳なさそうな表情を崩し、嬉しそうに笑った。
「ふふっ、大丈夫ですよ。ちゃんとわかってます。」
(カカシ先生ってば、優しいなぁ……………)
その笑顔はとても男とは思えないくらい可愛くて、カカシの心臓は跳ねた。
(クッ…………かかか、可愛い……………男でその笑顔は反則でしょ!)
「あー…………わかってるなら良かったが…………」
カカシはそう言って、照れ隠しに頭をポリポリと掻いた。
「はい。では、失礼しますね。」
ルナはカカシの赤面には気がつかず、そう言い残して、船室に向かった。
「ふぅ………」
(あー、まだ気持ち悪い…………でも、さっきよりマシかな?
まあいいや、カカシ先生の言う通り、少し休もっと。)
ルナはベッドに横になって、徐々にやって来た眠気に、意識を手放した。