第42章 氷雪の地へ
ルナは割り当てられた部屋の場所を覚えると、ふらりとデッキに出て、夜の海を眺めていた。
(夜の海…………真っ暗で静かで………いいなぁ、水の上を走り回りたい………楽しそう………
……でも、カカシ先生に怒られるし……… )
船外に出たいという欲求を持て余したルナは、少し考えて、それを歌で発散することにした。
「ラーラ、ラーララ、ラーラーラララ………ララーラ、ラーララ、ラーララ、ラー……………」
ルナが上機嫌で船旅には不吉な歌のメロディを口遊んでいると、
カカシのチャクラが近づいて来たので、ルナは歌うのを止め、カカシを待った。
しばらくして、カカシがデッキの上に姿を現した。
「よー、レイ。さっきここで歌ってたのは、お前か?」
カカシは登場するなり、ルナにそう訊いた。
「あ、すみません。五月蝿かったですか? 」
ルナは文句を言われる前からそう言って、カカシのクレームを牽制した。
「え?イヤイヤ、別に五月蝿くは無かったよ。ただ、良い声だな〜と思って、出て来ただけ。」
カカシはそう言って、ルナの横にやって来た。
「レイってさぁ、歳の割に声高いよね。変声前なの?」
「あ、はい。そうみたいですね。まあでも、まだ十四ですから。そのうちなるでしょう。」
(とか言って、私は永遠に変声なんてしないけどね!高音の曲が歌えなくなっちゃうし。)
ルナはさらりと嘘を吐き、カカシから離れた。
「では、カカシ先生、俺はそろそろ寝ますね。お先に失礼します。」
ルナはそう言うと、カカシが何か言う前に船内に入り、割り当てられた部屋で眠りについた。
「…………なんか俺、レイに避けられてる?」
(一時期は、そうでもないんじゃないかと思ったりしたんだがな…………まだダメだったか。)
ルナが去った後、カカシは呟き、その原因になっていると思われる、今までの懐疑的な態度を反省した。