第41章 調和の綻
ルナが家に帰ってみると、影分身の報告通りの位置に、角都がくれた櫛があった。
「角都さん……………」
ルナは愛する者達が敵対し、殺し合うときが、約二年後に迫っていることを感じて、悲しみが込み上げてきた。
(どうして、みんな仲良くできないんだろう…………どうしてみんな、殺し合うんだろう………
………後に残るのは死と痛みと虚無だけなのに……………)
その問いの答えは、すぐに浮かんだ。
(みんながそれぞれの平和を求めるから、だよね………
………平和とかそういう概念がない動物ですら、生きるために殺し合うんだもん………
………この世から、戦争が無くなるなんて、ありえないか…………あれ?)
ルナはそこで、忍里同士の戦争をなくす、ただ一つの、禁断の方法を、遂に思いついてしまった。
(そうだ……それだ!かつての大筒木カグヤみたいに、私が忍界全体の、敵であり続ければ………
…………完全な平和とは言えないけど………………できるかもしれない!)
ルナは大筒木カグヤの二の舞にはなりたくなかったので、自分が忍界を統治し、支配しようなどとは、つゆほども思わなかった。
一瞬、ルナの脳裏に、愛する者達が悲しむ顔が浮かんだが、ルナはそれを打ち消した。
(イタチ兄さんやシスイさん、李蘭や那由他は悲しむかもしれないけれど…………
…………でも、そうすれば、この世から戦争を無くすのも、夢じゃない!
どうして今まで気がつかなかったんだろう?私ってやっぱり間抜けだな〜)
ルナは楽しい気分になってきて、人が見ていないのをいいことに、ニマニマと笑った。