第41章 調和の綻
(これが……先生が言っていた、大蛇丸の呪印……!)
綱手はルナの白く細い首に、黒い三つ巴を見つけて、歯軋りをした。
(……大蛇丸め……よくも……っと、今はそれを考えるときじゃない。こいつの体調を良くする方法は……)
「………ううむ。」
綱手はルナの体調を良くする方法がこれと言って浮かばず、小さな声で唸った。
(こいつ、体力なさそうだしな……ちゃんと食ってるのか?訊いてみるか……)
「おい、皇レイ。お前、料理は得意か?」
「へっ?はい、まあ、得意かどうかはわかりませんが、普通に毎日、自炊してますが……」
ルナは何故そんなことを訊かれたのかわからないながらに答えた。
「そうか……」
(自炊……一人暮らしか。そうだな、先生と同居している訳じゃないしな。でも、肌ツヤが悪い訳ではなし。
栄養バランスの問題じゃないか……遺伝とか?体重の遺伝率は、身長より高いと言うしな……)
綱手が考え込んでいると、ずっと上半身裸で立たされていたルナが口を開いた。
「あの、火影様……もう、服を着ても良いでしょうか?少し寒くて……」
ルナはそう言って自分の身体を抱きしめ、いかにも寒そうにさすった。
「ああ、放っておいて悪かったな。身体を冷やしては元も子もない。どうぞ着てくれ。」
「……はい。」
綱手に許可をもらって、ルナはササッと服を着て、落ち着きを取り戻した。
「あー……時間取らせて悪かったな。また何か、体調が悪くなったら、私に相談しなさい。」
(って、なんで私、先生の遠縁をこんなに気にしてるんだ?いくら大蛇丸に目をつけられててほっとけないからって。)
綱手は、よくよく考えてみると少しおかしい自分の行動に首を捻った。
「はい。ありがとうございます。そうさせていただきます。」
(あれ?綱手様って、こんなに面倒見のいいキャラだったっけ……?)
ルナは綱手の申し出を受けながらも、そんなことを思っていた。
「では、ありがとうございました、火影様。失礼しました。」
ルナはそう言って、礼儀正しく礼をした。
「うむ!ご苦労であった。」
綱手の方はもそう言って椅子にどっかり腰掛け直した。
ガチャ、パタン
ルナは火影室を後にして、家に帰った。