第41章 調和の綻
「………ところでお前、昨日、あの後倒れたらしいな。大丈夫か?」
綱手は目の前のか細い少年の身体を気遣った。
「はい………もう、元気一杯です。お気遣い、感謝致します。」
(とか言って、なんかまだ倦怠感はあるけどね…………
……全く、この身体にこんなに症状が出てくるなんて、私のストレス耐性ってどうなってるの?
………いや、倦怠感とか頭痛とかは感覚的なものだから、身体が丈夫かどうかとは関係ないか………)
そう言ったルナの顔は、さっきほど顔色が悪い訳では無いにしても、やはり貧血でも起こしたように白かった。
「………お前、まだ全然本調子じゃないだろ?」
綱手が顔色が優れないルナを見つめて言った。
「えっ?いえ、そんなことは……」
(うわ、綱手様、鋭い。)
ルナは綱手の指摘に少し焦り、作り笑いを浮かべた。
「……ほら。そんな作り笑いして。顔見りゃわかるんだよ。ちょっとこっち来な。」
綱手がふぅと溜息を吐き、ルナに手招きをする。
「はあ……なんでしょうか。」
(なに?どういうつもりですか、綱手様⁉︎)
ルナは困惑しながらも、その命令に従い、綱手の横に歩いて来た。
「はい……参りました、が……」
ルナはどんな顔をしていいかわからず、そう呟いてもじもじした。
「……ちょっと上脱ぎな。診察する。」
(くっ……近くで見ると可愛いなコイツ。)
綱手がなんでもないことのようにそう言った。
「はい……」
(女同士だし、まあ別に恥ずかしがることないよね。)
ルナは綱手の言葉に素直に従い、中忍ベストと、いつもの黒いタートルネックを脱いで、上半身裸になった。
(皇レイ……なんでこいつ、こんなに躊躇いが無いんだ?いや、これが普通なのか?)
綱手は嫌にあっさり服を脱いだルナに少し疑問を持ったが、そんなものかと思い直した。
綱手は火影椅子から立ち上がって、ルナ(レイの姿)の身体をペタペタと触って、調べた。
(……ふむ。特に怪我をしている訳ではなし。どこか異常がある訳でもない。強いて言えば、少し痩せ過ぎか?
それか、精神面に問題があるのか……しかし、下手に首を突っ込んで、余計に傷を大きくしてしまうのは良くないし……って、これは!)