第41章 調和の綻
ルナはサスケ達と別れた後、ヒルゼンの言いつけ通り、火影室に出向いた。
コンコン
「失礼します。火影様、皇レイです。中忍登録の件で参りました。」
「おお、そうか。入って来い。」
「はい。失礼致します。」
ガチャ
ルナがドアを開けると、そこには火影椅子に座って、ルナを待ち構えている綱手がいた。
「皇レイ、待っていたぞ。中忍昇格おめでとう。この書類にサインを。」
綱手がそう言って、紙を数枚差し出す。
「はい。わかりました。」
ルナはそれを受け取り、氏名の欄にさらさらと、"皇レイ"と書いた。
(ふう………この偽名書くのも、もう慣れたな………)
「………はい。全て書けました、火影様。」
ルナはそう言って、丁寧な仕草で書類を差し出す。
「………ふむ。ちゃんと書けているな。よし、只今からお前は、正式に木ノ葉の中忍だ。」
綱手は受け取った書類を確認すると、そう宣言した。
そして、ルナが何か言う前に、言葉を繋げた。
「……………ところで、私からお前に、個人的に話があってな…………」
「?……なんでしょうか?」
(え?私なにかマズいことした⁉︎でも、うちはルナのときに、綱手様に会ったことなんか無いし…………
…………三代目の遠縁ってことになってるから、興味持たれただけかな?)
ルナは頭の中に渦巻く疑問を口には出さず、何気なくそう訊いた。
「……いや………お前と先生とは、どういう関係なのかなー、と思ってな。」
そう言う綱手の頭の中は、例のハグシーンで一杯だった。
「………どういう関係と言われましても………強いて言えば、三代目火影様は、俺を引き取ってくださった恩人ですが………」
(そこそんな突っ込まないでー!やめてー!)
ルナは説明に困って、誰にでも言っていることだけを言った。
「……ほう。お前は先生に引き取られたのか。それはまた、どうして?」
綱手はぐいぐいと切り込んでいく。
「………はい。わかりました、お話しします。」
(あーもう、抽象的なことだけ言って、なんとかやり過ごそう………)
ルナはどうやって綱手を誤魔化そうか、考えを巡らせた。