第41章 調和の綻
「それって…………」
サクラがハッとして呟く。
「そう…………まるでレイが、自分の運命を受け入れていたのを、両親が身代わりになったみたいに聞こえないか?」
「確かに…………でも、証拠はなにもないわよね……………」
「ああ。それに、レイに直接訊くわけにはいかないしな。ただの憶測だ。」
サスケはそう言ってサクラとナルトの方に向き直った。
「まあそれは一旦置いておいて…………サクラ、ナルト、わかってると思うが…………
………レイは、許しが欲しくて俺達を利用していると言っていたが、だからってレイが悪いやつだってことにはならねぇ。
………………むしろ、俺は……………」
サスケはそこで言葉を切り、俯いた。
「………………レイがいつか、俺達の前からふらっといなくなっちまいそうで…………それが、怖いんだ。」
サスケが珍しく、ナルトとサクラに自分の正直な気持ちを吐露した。
「俺も……俺もそうだってばよ!
だってレイってば…………たまにすげえ危ないこと平気でやるし、昨日はぶっ倒れちまったし………
………なんていうか、消えちまいそうに見えることがあるんだってばよ……………」
「そうね…………波の国でなんて、カカシ先生の雷切の前に出て行ってたしね………
………さっきのナルトの螺旋丸とサスケ君の千鳥だって、もし食らったらタダじゃ済まないだろうし…………
…………なんていうか、自分の命なんてなんとも思ってないみたいに見えるわよね…………」
ナルトとサクラが口々に呟いた。
「そう………レイはまるで自分の命をかえりみない………
………だから俺は、レイが死に急いでるように見えて、仕方ないんだ……………」
サスケが俯いたまま、暗く小さな声で呟く。
その言葉を、サクラとナルトはなんとも言えない顔で聞いていた。