第41章 調和の綻
「……………ねえ、サスケ君とナルトは、レイ君が木ノ葉に引っ越して来る前に、何があったか知ってるの?」
ルナがいなくなった一瞬後、サクラが二人に向き直り、真剣に訊いた。
サクラはルナの師匠の話が出たとき、自分だけ話についていけていない気がして、ルナの過去が気になっていたのだ。
サスケとナルトが相談でもするように目を合わせた後、サスケがゆっくり口を開いた。
「……………サクラ、俺達が言ったってレイに言わないって、約束してくれるか?」
「…………もちろんよ。」
ナルトまでもがとても真剣なのに気がついて、サクラはそれがデリケートな話であることを悟った。
「じゃあ………ナルト、まず、お前が知ってることを話してくれ。」
サスケがナルトにそう言った。
「…………わかったってばよ。っても、俺もそんな詳しく知ってるわけじゃねえんだけどよ……………」
ナルトはそう前置きすると、ルナから中忍試験のときに聞いたことについて、話し始めた。
「俺がさ、中忍試験のとき、レイはなんでそんなに強くなれるんだー、って訊いたらさ……
………レイは、自分の犠牲になった両親のぶん、大切な人を守りたいからだ、って………そう言ってたってばよ。」
「そう、だったんだ…………」
サクラはルナの普段の明るい様子からは想像できない悲しい過去に、言葉を失った。
(レイ君…………いつもいつも、そればかり考えて来たっていうの…………?そんなの………辛すぎる………)
サクラが黙っていると、サスケが口を開いた。
「……………俺が知ってるのも、大体同じだ。
ただ……………レイは、両親が自分の犠牲になったって言ってたが、俺は実は、最初それは逆だったんじゃないかと思ってるんだ。」
「…………どういうこと?」
サクラが全くわからない、という風に訊く。
「いや…………レイが個室に移される前、イタチの幻術で眠ってたときに言ってたことなんだが…………」
サスケは、ルナが呟いていたうわ言の内容と、それから連想される状況について説明した。