第41章 調和の綻
「…………まあとにかく、悪いことはみんな、俺のせいだ。
だから、ナルトとサスケは謝らなくていいんだ。ただ、怪我はするなよ。じゃ。」
そう言って三人に背を向け、その場を去ろうとするルナを、ナルトとサスケが引き留める。
「待てよ、レイ!」
「待ってくれ、レイ!」
「……………何?」
ルナは二人に背を向けたまま、涙で曇った声で応えた。
「レイ、俺は、お前と会えてよかったと思ってるってばよ!
だから………そんな悲しいコト言うなよ!」
「そうだ!悪いことはみんなお前のせい?お前の周りの人間はみんな不幸になる?そんなわけないだろ!
お前はいつだって、俺達のためを思ってくれてるのに!」
ナルトとサスケの言葉に、ルナは振り返り、首を振った。
「…………いいや。俺は本当は、お前達のためを思ってるわけじゃない。自分のためなんだ。
俺はお前達を助けることで、許しを得たかっただけなんだ。」
(そう…………私がイタチ兄さんやシスイさんを大事にするのは、結局はそのため…………まあ、それだけって訳じゃないけど。
自分で自分に、生きてていいんだよ、って言いたかったんだ…………)
「まあ…………だからさ……俺のことは許さなくていい。
俺はお前達を、自分の心の安寧のために利用しようとしたんだから。
そう…………俺は自分のために他人を利用するただのクズだ。生きているのもおこがましい。」
ルナは自暴自棄になって、吐き捨てるようにそう言った。
その言葉にナルトが怒り、ルナに殴りかかる。
ルナは顔めがけて迫ってくる拳を、甘んじて受け止めた。
バシッ!
ナルトの拳がルナの頰にヒットし、口の中が切れ、ルナの唇の端から血が一滴滴った。